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ユニックスデスクトップ上へのマウスによる落書


藤田 孝夫

山梨大学 教育人間科学部



  1. はじめに
  2. 落書例
  3. Doodle の仕様
  4. まとめ
  5. 謝辞
  6. 参考文献


はじめに

教育人間科学部ソフトサイエンス課程では、2年生以上を対象に"生活情報演習 I、 II"として、Windows9X,2000に代表される環境とは異なる OS 環境の Unix に関 しても演習を行っている。本演習のねらいは以下においている。 開講されて、本年度で2年目であるため、本課程の学生が何に興味を 持つか、どのような例題が適切か等を模索しながらの授業であるため、 本授業に関し考察するのは時期尚早であろう。 授業を行う上で、学生への説明、例題表示等を Unix のデスクトップを プロジェクタでスクリーンに表示し行っているが、注意、強調個所を示すには いちいちコンピュータから離れ、指ないしは指示棒で指すことになり 不便であった。

同様な意見が山梨大学内で運用されている、 yu-Linux-ML(yu-linux@math.cs.yamanashi.ac.jp, admin:yu-linux-ctl@math.cs.yamanashi.ac.jp)において述べられた。


[yu-linux:00207] から抜粋。
画面上ところ構わず落書ができるソフトってないでしょうか.
授業などでつかっていて,「ここ!」とか言ってアンダーラインを引いた
りしたいなぁという希望をもっています.良いツールを知りませんか.

   http://www.pa.airnet.ne.jp/tsuruta/programs/

にあるxdrawというソフト(Xlib?でがしがし書かかれている)があるんだけ
ど,点しか打てないんだなぁ.

この様なことがきっかけで、デスクトップ上で少なくとも、直線、自由曲線が 描けることをねらいに "doodle" と名付けた落書ソフト作成を行った。

落書例

最初に Doodle を用いてデスクトップ上に落書した例を示す。
  1. PC-Solaris2.6, CDE 上での例
  2. Linux KDE 上での例
簡単なことしか出来ないが、例に示されるように、
  1. 線の太さの変更
  2. 描画色の変更
  3. 点を打つ
  4. 直線を引く
  5. 自由曲線を描く
  6. 背景との XOR 演算
  7. アプリケーションのみならずルートウィンドウ上にも描画
等が可能となっている。

Doodle の仕様

  1. 起動方法 : doodle [-lw line-width] [-c color-code] [-xor]

    1. 線の太さに関しては、固定の7通り用意されている。 ユーザ定義として、 line-width=1--100 から選択でき、起動時には その太さで描画する。指定しない場合は line-width=4 となっている。
    2. 描画色に関しては、固定色の黒、青、赤、緑、黄、白が利用できる。 ユーザ定義として、color-code=0--15 から一色を追加できる。起動時には その色が描画色となる。指定しない場合は白となっている。
    3. -xor オプション指定では Doodle 起動時に背景との XOR 演算で 描画する。但し、後述するメニューから選択することもできる。 指定しないときは上書きとなる。

  2. マウス操作

    1. 左ボタンクリック --- 点を打つ。
    2. 中ボタンクリック --- 1回目で始点、2回目で始点から線を引く。
    3. 右ボタンクリック --- メニューのポップアップ。
    4. 左ボタンドラッグ --- 自由曲線を描く。

  3. ポップアップメニュー : マウスの右ボタンクリック

    1. 描画の太さ選択(円で表示)。
    2. 描画色選択。
    3. Opt : ユーザオプションに設定
    4. Xor/Solid --- 背景色との XOR演算/上書き指定。トグル動作。
    5. All Clear --- デスクトップをホワイトボードにする。Refresh で元に戻る。
    6. All Set --- デスクトップを黒板にする。Refresh で元に戻る。
    7. Refresh --- Doodle で描画されたものを全て消す。
    8. Exit --- 終了。
    9. Refresh&Exit --- Refresh して Exit.
    10. Circle/Pencil --- マウスカーソルを 小円/ペンシル 形にする。トグル動作。
    11. Pause --- 制御をウインドマネイジャ(WM)に戻す。kterm から doodle を起動 する時に効果がでる。

  4. kterm からの起動

    Doodle が起動し描画モードになっている場合、kterm 内で作業をしよう としても制御が Doodle に渡っているため作業出来ない。このような場合

    kterm -g 8x1 -e /home/fujita/Exe/doodle -lw 2 -c 9 &

    として kterm, xterm 等と共に起動すれば、Doodle と WM との 間で行き来できるようになる。Doodle を一時停止にするには、メニューから Pause を選べば、WM に制御が戻る。Doodle の描画モードに移るときは、 8x1 サイズのkterm 内にマウスカーソルを置き、改行を叩けばよい。

まとめ

本落書ユーティリティ Doodle は TSURUTA Mitsutoshi 氏による xdraw.cを参考にして作成したもである。このオリジナル版は、 残念ながら期待通りには 動かなかった。基本部分はアイデアをお借りし、乏しい Xlib の知識で、 それをかなり改定したため、 doodle.c (doodle=(他のことを考えながら)落書する)と名付けた。

利用して下さる方、及び特により使いやすくして下さる方は ソース を自由にダウンロードして下さい。コンパイルには、"-lX11 -lm -lc" を付ければ、 ほとんどの OS で大丈夫かと思う。試した範囲では、Linux(Vine1.1, Vine2.0, SlackWare3.1), Solaris2.6,2,4, PC-Solaris2.6, IRIX6, SunOS4.3 で動いている。 授業においては、PC-Solaris 上で利用している。

楕円、四角が描けない、消しゴム機能が無い等、未熟なソフトであるが、 当初の目的は果たせたかと思う。Unix を用いたプレゼンテーションに 役立てば幸いである。

謝辞

本 Doodle をテストして頂き、実際に授業にも利用して頂いた 豊木 博泰先生 にはここにお礼申し上げます。

参考文献

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