[研究報告の目次へ戻る]

大学祭におけるインターネット中継実施についての実験報告

山梨大学工学部電子情報工学科Kクラス3年
第48回山梨大学大学祭統合実行委員会副委員長
T97E017H
石原 誠

目次

1.はじめに(中継実施の動機)
2.今回の計画
3.準備
4.実験
5.本番
6.反省・考察
7.謝辞・参考文献

1.はじめに(中継実施の動機)
コンピュータの技術革新が日進月歩で進む昨今、それに付随する技術も目覚しい。特にコンピュータが安価に手に入り、 誰でも手軽にインターネットの世界に触れる事ができるようになった。インターネットにはさまざまなコンテンツが流れている。その中で、映像と言うものを取り扱うことができるようになり、リアルタイムで映像を配信することがそう難しくないところまできた。
そもそもインターネット生中継システムを使用したいと思った第一の目的は大学祭を全国や全世界へアピールすることである。この中継はその可能性を十分に秘めている。また大学祭単位ではそのようなシステムを使用して全国にアピールすることはない。まだあまり知られていないこのシステムを使って成功すれば大学自体も有名になりますます大学祭が有名になると考えたからである。
また、山梨大学大学祭統合実行委員会でリアルタイム中継をしたいと言う計画が2コ年前から持ち上がっていたというのも今回実施を決意した理由に一つである。しかし2コ年前の計画では技術と機材の不足から実現ができないまま年が過ぎて行き私の代がやってきた。OBからそのような中継計画を聞いたのは去年の大学祭の時であった。話の内容としては実現不可能でないことに気がつき大学祭の生中継をしようと決心した。そして、この計画の成功を私の大学祭最後の一年の目標とした。

2.今回の計画
去年の大学祭が終わってから今年の大学祭が開催されるまでには一年と言う長い期間があるわけで、計画は充分に練ることができる。計画するからにはしっかりとしたものを作り上げ無くては気が済まないのでいろいろ思案した。
2.1計画一覧
OBが計画していた方式である。方法としてはカメラを設置してネットミーティングで送信する。カメラはデジタルスチルカメラ、発信端末はパーソナルコンピュータ、送信はISDNを一回線用意する。
MPEG1というフォーマットでデータ圧縮・蓄積される画像をWEB上に配信が可能。
もっともオーソドックスな方式。
2.2各計画の評価
上記の計画を考察してどの計画が適しているのかを決定した。この場合適していると言うのは
1.画質の良く且つ画像ができるだけで大きいこと
2.誰でも見ることができる
3.リアルタイムである
4.人手がかからない
この4点を考慮したもののことを言う。
この場合は文字を交換するチャット形式ではN対N通信が可能だが、映像・音声は1対1通信しか行えないと言うことが計画段階で分かった。遅い転送速度にしては画像の質が良くしかもリアルタイムで送信できるのであるが、如何せん1対1通信では、一人にしか映像を送ることができない。接続方法はnetmeeting上で映像受信側が映像送信側のURL若しくはIPアドレスを指定すると映像送信側に接続要求が届き送信側はそれを手動でアクセプトする。そこで始めて通信ラインが確保されるわけである。要するに、映像を送信する際にはコンピューターの前に誰か一人いなければならないのである。通信ラインの確保は「電話」の方式に類似している。この形式は計画段階で適さないことが分かった。「大学祭生中継システム」としては使えなかったが、遠隔地に住んでいるOBと連絡を取る際は大変役に立った。
この方式を取ると「リアルタイム」に配信にできない。その時点でこの方式を取ることをやめた。そういうわけで画像の質や画像の大きさ等を評価しなかった。聞くところによると画像のクォリティーは高いらしい。そこで、将来的には大学祭の映像はMODの方式で記録をしておくことを計画している。
この方式を使う場合、画像を1対Nで送信でき、送信する相手の送信速度(28kbpsの低速モデムから10BASE・100BASEまで幅広く)によって画質のクォリティー・大きさを調整することができる。これは、netmeetingとは違い送信するその場に人がいなくても映像を延々と流しつづける事ができる。映像受信側は専用の「RealPlayerG2」若しくは「RealPlayerPLUS」をコンピュータにインストールしておくだけでインターネット上でリアルタイム映像を見ることが可能になる。音声もきちんと載せることができる。設定もそんなに難解ではない。送信側はサーバとコンピュータとビデオカメラがあれば良い。 今回は3つの方式を検討して、結局「RealPlayer」の方式を取ることにした。

3.準備


1999年4月がきた頃から大学祭の準備も始まる。その頃からわたしもネット中継を始めた。まず取り掛かったものは「機材の調達」である。調達方法をいろいろ考えた。

これは見出しの通りである。各企業に事情を説明して機材を借用しようとした。大学祭は「非営利」団体である。早々機材に費用をかけることができるわけでない。毎年新入生から4年間分の学祭運営費を頂戴しているのであるが、それは芸能人などを呼んだりすることで大半が消えてしまう。大学祭の金袋からそんなお金が出てくるわけが無い。そこで無料で機材を調達できるかどうか検討した。大学祭は企業とつながりが強いところもあり、そこから突破口を開き各企業に働きかけようとした。しかし、機材の量が半端ではない。カメラなどは結構高価なものだ。また、通信回線も当初の予定ではNTTからISDN回線を1回線大学祭期間中に借りようとした。しかしISDN回線をNTTから借用しても回線料金が馬鹿にならない。後になって聞いたのであるが、NTTからインターネット中継システムを一式借りると一時間数十万円かかるらしい(カメラなどは除く)。今になって考えるとなんて馬鹿な策略だったんだろうと思ってしまう。しかもNTTは会社を分割したときに甲府にあった生中継システムは東京にいってしまって手元にはないと言うことだ。今回の中継は、大学祭全般にわたって中継したかったので、企業に頼ることが正しいことではないと知った。
そこで私が考えたのは「総合情報処理センター(以下センター)」に機材を借りると言うことである。なぜこれに気がついたかと言うと。今年にあった「江崎玲於奈」氏の講演会のときにセンターの職員がカメラを二台使ってT0-1からほかの教室に生中継していた。これを見たとき「なんだ、学校にあるのか、カメラが二台れば充分な中継ができる」と思ったわけである。早速センターへいろいろ相談へ行った。それは大学祭の始まる5ヶ月くらい前であった。まず、安藤助教授に話を通してもらうためにいろいろセンターの職員に相談をした。安藤助教授にやっと話が通ったときはもう既に夏休みが近かった。安藤助教授の反応は良く、いろいろな協力をしていただけることになった。

センターで機材当の調達が可能になったわけであるが。わざわざ大学祭に間に合うために機材をセンターで購入していただけた。これはすごいことであり、私は感激した。夏休みはほとんど中継のための準備はなく、夏休み明けから本格的な準備を始めた。

準備機材

準備した機材は以上の通りである。

4.実験


夏休み明けに簡単な伝送実験をまず、情報処理センターの安藤教官の研究室内で実際に放映されているテレビ番組を使用して簡単な事をした。内容としては「どのくらいの速度で転送するのが良いのか・又どのくらいの画面サイズで伝送したら良いのか」を大雑把に行なった。
機材が完全にそろったのは大学祭が開催される一週間前だった。そこで、躊躇している暇など無く伝送実験をしなければならない。しかし、私も大学祭実行委員副委員長と言う立場上仕事が無いわけでなくあまり理解されていなかったこの試みは、他の仕事が終了しないとには取り掛かる事が出来なかった。

5.本番


伝送実験もとりあえず成功した。後は本番を待つだけである。大学祭は11月5日から11月8日まで行われ、前日の風景から大学祭の5ザシの3日間を生中継しようと試みた。大学祭の実行委員会は大学祭期間中は深夜まで作業する者も多数おり、その作業風景等もリアルタイムに流すことも決めていた。

後片付けは学祭が終わって次の日まで掛かった。色々機材をセンターから借りたので全てを返すのに時間が掛かった。

6.反省・考察


今振り返って、実施一年目にしては良く出来たのではないかと思う。ただ反省点は多々あり。来年に向けていっそうの努力に励みたい。

7.謝辞・参考文献


この大学祭におけるインターネット生中継の計画は山梨大学総合情報処理センターの職員の皆様とセンター専任教官の安藤英俊助教授に多大なご協力をいただいて実現できました。また、大学祭初日・2日目にネットワークを提供していただいた教育人間科学部尾藤章雄助教授・武藤秀夫助教授・工学部佐藤眞久助教授のおかげで成功しました。ここに感謝します。
参考文献はありませんが最後に、「RealPlayer」の形式でエンコーディングした大学祭の模様を添付してあります。転送速度による映像画質・サイズ・音声の違いをご覧になってください。

データの格納ディレクトリへ移動する。

「RealPlayer」は以下のURLよりダウンロードできます。
http://www.jp.real.com/


[この報告のトップに戻る]

[研究報告の目次へ戻る]