教育人間科学部学生のインターネット利用に関するアンケート調査 −回答とその対応について− |
2.方法(アンケートの実施) 3.結果(利用の問題点) 4.対応(委員会の計画) |
山梨大学では,平成12年夏に,それまでのホームページが一新され,様々な視点から,インターネットによる学内の最新情報の公開がすすめられている.例えば山梨医科大学との合併に関する記事や大学入試合格発表,さらに,平成13年度からは,教務関係ではペーパーレス化を目指したシラバス(その一部)のホームページ掲載など,「情報の掲示版」としてのインターネットの役目は,本学の学生にとっても今後ますます重要になってくる. 教育人間科学部でも,大学にあわせて新規にホームページを立ち上げ,教育組織や全教員の個人情報(研究者総覧)を掲載している.また上記の大学の情報とリンクを張り,本学部の学生への利便をはかってきた.このような状況下にあって,本学部の学生のインターネットの活用状況がどのようになっているのか,本委員会では,委員会要項(2.任務)にしたがって実態調査を行った. 平成10年4月に新学部(教育人間科学部)がスタートして,それまで自由単位として開講されていた,「情報科学入門および実習」が,新1年生から前期・必修2単位の科目となった.まず,入学時には,全学生にアカウントが配られる.そしてこの授業では,主にE-mailの利用をはじめ,各種のアプリケーション・ソフトの(簡単な)使い方,さらに自己表現の一つとしてホームページの作成など,インターネット活用の基本事項の修得を目指している.しかし,ここで得られた知識・技術が,その後,卒業までに十分に活かされているのか,さらに発展してどのように活用されているのかについては,学生の授業評価を見てもわからない.数人の学生へのヒアリングによると,講義のみならず私生活でも十分活用しているという声もあれば,学年進行と共にインターネット(の世界)から逆に遠のいているという声もある.後者の理由として,部屋の管理によって利用時間に制約がある,利用できる場所が少ない,利用できる場所では混雑が激しい,というインフラの不備ともとれる指摘があった.そのためなのか,中には外部のプロバイダーと契約することによって,インターネットの世界を快適に楽しんでいると言う皮肉ともとれる声も聞かれた. そこで,本委員会では,本学部学生(大学院生を含め)全員に対して,次のアンケート調査を行い,本委員会が検討してきた案が的を得たものであるかどうかを検証することとした.本学部では,所属するコース・専修(または教室)ごとに,学生が普段に利用できる「控え室」制度を基本としている.そこで,本委員会では,この「控え室」を中心にインターネット端子を配置し,さらにインターネット機能を備えたパソコンを設置して利用を高めるという計画を立てた. |
アンケートは,平成12年の冬休みに実施した.年末おし迫った12月18日に急遽別紙を用意し,学部生・院生全員に行き渡るように各教室・講座・専修の主任の協力を得て配布した.回収はJ号館玄関の横に回収箱(図1)を設置して,平成13年1月19日を締め切り期日とした. 今回のアンケート調査は,黒沢幸明学部長から平成12年度の予算のうち,実施できることからすすめるようにとの示唆があり,予算確保の見通しを得たことによって急いで行われた.したがって,質問内容について,委員会で十分に吟味したとは言い難く,インターネットの利用状況・利用形態に関する形式的な質問にとどまらざるを得なかった.利用の内容に関する踏み込んだ質問に関しては,今後の検討課題としたい. |
回収率は,表1に示すように,全体で約4分の1(ほぼ1学年の人数に相当)であった.この数字が,本学部の学生のインターネットへの関心度そのものであると言う見方もできようが,アンケートの実施時期が冬季休業期間をはさんだことに加え,委員会もすすんでアナウンスを行わなかったこともあり,学生全員にうまく伝わらなかった可能性も否定できない.アンケートの実施については,時期や方法について,上述の質問項目と同様,今後一層の工夫が必要である.以下に質問項目2.から順にその結果を各種のグラフで示し,最後に自由意見のうち主なものを列挙する. 表1 (質問1)
質問2 インターネット(Eメールやホームページなど)は利用していますか.
質問3 1回にどのくらいの時間利用していますか.
質問4 利用している場所はどこですか.(複数回答可)
質問5 大学でインターネットを利用するとしたら,どこが利用しやすいですか.(複数回答可)
質問6 大学でインターネットを利用するとしたら,いつ利用したいですか.(複数回答可)
質問7 インターネットや電子メールを利用している授業を受けていますか.もし受けているとしたら,それはどういうタイプの授業ですか.(受講している人のみ回答)
質問8 インターネットが出来るパソコンを持っていますか.
質問9 山梨大学(http://www.yamanashi.ac.jp)と教育人間科学部(http://www.edu.yamanashi.ac.jp)のホームページを見ますか.
質問10 山梨大学のホームページも含め,一般にホームページから有益な情報・知識が得られていますか.
質問11 自分のホームページを開設していますか(学内・学外問わず).
質問12 Eメールの送受信などに,民間のプロバイダーや携帯(PHSも含む)電話会社を利用していますか.
自由意見(76件の書き込み)−とくに目立った(約8割)内容について−
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上記のアンケートの結果から明らかなように,利用者にとっては,パソコンの設置台数不足への不満は明らかである.しかもその利用環境に対する注文が,自由意見からも端的に指摘されている.さらに本委員会が予想したように,「控え室」からの利用を望む声(質問5・質問6,書き込み)が,学年を問わず多いこともわかった.専修分野によっては学年の進行に伴って,研究室や実験室などからの使用も可能ではあるが,全体的にはまだ十分とは言えないのではなかろうか.本学部の特徴である「控え室」制度を最大活かすとすれば,ここに端子を配置するという本委員会の計画は概ね妥当なものではなかろうか.「控え室」については,十分保証されていないコース・専修もあり,不公平感があることは否めないが,これは早急に整備されることを期待したい.そこで,本委員会では,すでにある「控え室」に対して,学部レベルで可能なインフラ整備の一つとして,上記の計画を実行したいと考えている. また,他の回答結果から,本学部生のインターネットへの関心度は,現状では必ずしも高いとは言い難いが(アンケートの回収率や質問2・3・8・9・10・11),インフラ整備が促進されることによって,関心度も高まり,本学・本学部のホームページへのアクセス件数も増え,そのことによって学内の教務情報,就職情報,図書館情報などが積極的に活用されることが期待できよう.学内での情報伝達の仕組みの変化からもそうならざるを得ないはずである.利用環境が,充実すれば,分野を問わずインターネットを活用した授業(質問7)も急増するであろう.さらに各自がアカウントを積極的に利用することによって,自己表現能力の向上にホームページ作成が一役を担うことにもなろう.E-mailの送受信は,携帯電話の爆発的な普及により多様化している(本学部でも低学年ほど携帯電話の利用者が多い(質問12).いずれにしても本学部では,学生のインターネット利用度を高めるためには,インフラの整備が急務であると考える. |
* #今泉俊文・入山裕・遠藤俊郎・尾見康博・椙村憲之・滝口晴生・中丸宣明・武藤秀夫・村松俊夫・八束厚生(平成12年度委員,音順,#執筆者) |
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