実践内容

「学習評価とHOW TOデータベースの構築」
実践者  技術・家庭科 鈴木 昇
webコメントシステムは、さまざまな活用方法が考えられる。相互評価の対象となるwebページを生徒作品で行うのがこのシステムの構想であったが、教師が課題を提示する教具としても活用できる可能性があると考え、以下の実践を行った。
第一学年の技術分野の学習で、設計・製作の基礎的な能力を育成する木材加工実習を行っている。活動を通して、加工技術の基礎的な知識と方法は学ぶが、実際の加工場面ではひとりひとりが少しずつ違った問題点にぶつかり、教師や友人と相談しながら解決していく場面がある。この課題解決情報は、実践的なノウハウの部分でなかなか記録に残らない。
そこで、webコメントシステムを活用して、webページに製作実習のいくつかの場面を設定し、コメントとして生徒個人が問題点や改善点、解決方法などを記入する学習を行ってみた。
概略指導案
学習内容 「製作活動の中間評価」技術・家庭科 技術分野「技術とものづくり」20時間目
学年学級  第1学年
学習目標  ・製作活動を振り返り、身についた技術や解決方法などをコメントできる
          互いに情報交換して、有効な情報かどうか評価しあう
          コンピュータを正しく操作して、効率よく目的の処理をすることができる。

学習のながれ

生徒の活動

教師の活動

留意点等

導入

実習記録を振り返り、どんな工具を使い、困ったときにどんな事をしてきたか思い出す。

今までの製作実習について振り返らせて、おもに道具の使い方や加工方法などでこまった場面などを聞くなどして、自分の解決方法を思い出しやすい状況に導く

自習記録ファイル

課題提示

ブラウザを起動する。

提示されたURLを入力する。

コメントメニューから、各製作段階のページを閲覧する。

コメントシステムの使い方を理解する。

WebコメントシステムのURLを示して、各製作段階に分かれたwebページを閲覧させて、そこに、自分の持っている情報を入力することを指示する。

情報として価値のあるものは、問題点と具体的な解決方法、有効な工夫点、失敗の原因となることなどである。

学習プリント

展開

実習記録ファイルを見直す。

任意のwebページのコメントをみたりして、自分の持っている情報がない場合は、コメント入力する。

活動の支援、機器操作支援、また、生徒の記録にないが、教師の記録にあるような内容を思い出させて入力を促進する。入力内容がより具体的になるように巡回指導する。

コメントシステムのURLを表示

まとめ

今までに入力されたコメントを閲覧し、特に有効だと思う情報をひとつえらび、その理由を学習プリントに記入する。

本日の学級の仲間の情報を互いに評価するように指示し、本日のか活動記録に有効な情報を選んで記入する。

 
生徒の記入例

テキスト ボックス:

 

コメントシステムの有効性と問題点
本校の生徒は、附属小学校で、かなり情報教育を受けてきているので、文章入力操作の支援はほとんどない。コメントを見ていくと、コメントが多くつくにつれ、また後者のコメントほど具体的な表現となり、わかりやすいな情報を発信しようという意図がみられた。
また、実際の意見交流の授業と比較すると、生の意見交流はできないが、発言にならない個人の意見が得られることで、ここの生徒の思考や判断について、より客観的に実態分析できる情報としても価値があると思われる。
今回は、6つの学習場面をwebページにして提示したが、複数課題、多角的な課題などを設定するような学習ユニットでもその相互の情報交換や意見交流などにも有効に働くと思われる。たとえばグループごとに違う実験や実習を行って、あとで総合的にまとめていく学習場面などである。
このように、webページに教師の意図した課題を設定することで、webコメントシステムは、課題提示と成果の収集のシステムとしても利用価値があると思われる。
 問題点として、コメントを入力してすぐに一覧に表示されないことである。10分程度すると、コメントが表示されるが、この部分はさらに改良していくべきである。また、有用なシステムではあるが、各教科での小頻度が高くなってくると、コンピュータ室の使用頻度が高くなり、重複して使えなくなることも予想される。普通教室に1台ずつ配備されることが近い将来言われているが、特別教室などには、より多くのコンピュータが導入されるようにしてほしいものである。