総合情報処理センター長 豊木博泰
今年度,センターシステムが更新されました.
80年代には1台のメインフレームコンピュータとその周辺機器が主な設備であったセンターシステムは,UNIXワークステーションとネットワーク技術が大きく発展した90年代前半に分散処理システムの方向へ舵をきりました.その後,90年代後半には複数CPUのUNIXサーバの能力向上という状況のもとで,教育用汎用ネットワークサーバに研究用アプリケーションも搭載するというあらたな「統合」が図られました.多くの組織と同様,コンピュータの世界でも,統合と分化を繰り返しながらより高度な組織化がすすむのでしょう.
今回のシステムでは,センターシステムを軽量化し,その分,ネットワークアクセス環境と全学的な情報共有システムの構築に力を入れました.認証機構とユーザ認証に基づいて動的にメニュー構成ができる情報ポータルは,ユビキタスネットワーク環境の構築と合わせて,センターが行うサービスの新しい柱になると考えています.詳しくは,本研究報告に含まれる新システムに関する記事をご覧下さい.
センターシステムの変遷と相まって総合情報処理センターも大学ごとに多様な改組,発展を遂げようとしています.コンピュータとネットワークがあらゆる業務の必須機器になっている現在,その企画運営の中心部分をセンターが担うのか,それを他の組織に委ね,センターは研究,教育あるいはそのどちらかの共同機器運営だけに専念しするのかの選択が迫られているのではないかと考えています.また,どれだけの部分をアウトソーシングするのかにも企画力が問われています.
本研究報告に寄せられた論文には,大学の研究,教育に資する情報サービスの新しい展開への萌芽や見直すべき問題提起が多々含まれています.本巻が,センターが行うサービスの利用案内でありつつ,新しいセンター像構築に資するものであることを期待致します.