大学経営に関わる情報処理と蓄積や公開のあり方がクローズアップされた一年でした.
学生の修学上の情報共有を目指して「キャンパス情報システム(CIS)」が今年度後期より正式運用され始めました.いくつかの不満足な点はありますが,甲府キャンパスにおける物理掲示板に置き換わる電子掲示板としての役割を果たしています.置き換えにとどまらず,授業の内容に関わる様々なコンテンツへのポータルとしても使われており,今後の発展が期待されます.
法人化を前にして「大学データベース」構築の検討が行われ,新年度当初の稼働を目指して作業がすすめられています.大学人全体に関わる情報から学科単位で共有する情報に至るまで,各人の権限に応じて格納,検索,閲覧ができる広い意味での電子書庫としての大学運営DBと,教官個人の教育,研究業績を中心としたアクティビティを記録する教育研究活動DBとからそれは成り立っています.
これらの情報システム構築に対してセンター関係者は大きな役割を果たしたと自負していますが,もちろんセンターの力だけで出来たものではありません.大学DBはDB委員会と事務局におかれた情報化推進室との協力の賜物です.このような連携は大学の運営に広く関わるシステムの構築に不可欠ですが,継続的発展的な運営には連携にとどまらず運営組織自身の改組が必要になってくるでしょう.センターが伝統的に関わってきた教育研究に直接関わる情報施設の運用をその一部として含むような大学の情報基盤運営組織が必要になっていると私は考えています.
本巻では,センター施設の利用に関する論文や研究論文に加えて,NEC社SEの笹森氏より,今年度運用を開始した大学教職員用メールサーバの認証部分を大学全体の「認証の統合」に合致するよう改造を施した件に関する寄稿をいただきました.センター施設の有効活用に資する情報誌として,また,上記のような情報サービスに関する実践的な技術情報交換の場として引き続き本研究報告が役立つよう期待致します.