総合情報処理センターの発足を祝って


教育学部長 免取 慎一郎

 


現代社会での情報化の進展はめまぐるしいばかりで、つぎつぎと新しい機器が導入され、それにまつわって耳慣れない言葉が飛びかってます。附属小学校の子どもたちがインターネットを使って、世界中の人々と嬉々として交信している姿をみると、コンピュータは、もはや、第2のリテクラシー以上のものとなっていることがよく分かります。そして大学では、何時の間にか、情報関係の新しい言葉が、日常の基本的な語彙になってしまっています。文章作成にワープロを使うところまではなんとか辿りつきましたが、ファミコンともパソコンとも接触する意志や能力にかけている私のようなものには、住みにくい世の中になりました。

情報処理センターが、学内共同教育研究施設として、総合情報処理センターに格上げされたことは、本学における教育研究のいっそうの進展のために、慶賀すべき事であります。この後に、私が、高度情報化社会の行く手ないし教育研究における情報化のはらむ問題などについての思いつき的な懐疑を綴っても、コンピュータ・イリタレートな人間の「ごまめの歯軋り」にしかならないので、やめることにして、センターの使命が本学の教育研究の高度化への貢献にあることを承知したうえで、一つだけお願いしておきたいと思います。

それは、利用者、とりわけ可能的な利用者へのサーヴィスです。大学では、水際まで馬を連れてくる必要はありません。現代の大学人は、もうコンピュータの傍まで来ているのです。問題は水を飲ませることなのです。このあまりに初歩的な仕事は、センター本来の任務からすれば、余計なことかもしれませんし、水を飲むか飲まないかは可能的な利用者自身の問題といいきることもできるでしょう。しかし、大学の共同研究施設としてのセンターには、心優しい啓蒙者の役割を演じていただきたいと、わたしは願ってます。