あいさつ
どの文化においても、あいさつは大切な社会的機能をもっています。「あなた」の存在を確認しましたよという意味、「あなた」との間には関係の回路が開かれていますよという意味、さらに「あなた」のことを忘れていませんよという意味などがまずは考えられます。反対に、あいさつをしないことにより、相手の存在確認の拒否、あるいは少なくとも、回路を開きたくないという意思表明をすることができます。
あいさつの仕方には文化による違いが見られます。日本なら一人で食べる場合でも食事の前に「いただきます」と言うことができますが、フランスではそうはいきません。一人で食べるときはだまって始めます。ただし、誰かと食べるときは相手にむかって "BON APPETIT!" ということができます。"BON APPETIT!" は他者と回路が通じていることの確認であり、相手に対するこちら側の配慮の表明です。ところで日本語の「いただきます」というメッセージの送り相手は一体誰なのでしょうね。
別の例をみておきましょう。英語で "How are you?" という言い方があります。「ご機嫌いかが」といった程度の意味なのでしょうが、よく考えてみるとこれも日本人にとっては奇妙なあいさつなはずです。なぜなら、日本語のごくあたりまえのコードではあいさつとしては相手の調子などはたずねないからです。大阪方面ならば「もうかりまっか」という言い方がありますが、これは別格でしょう。ところがフランスでは実に頻繁に "CA VA?" の応酬がなされます。
郷に入っては郷に従え。フランス語を学ぶためにはやはり決まりきったあいさつ文句を覚えるだけでなく、それをできるだけ使うことが大切です。
主なあいさつの表現
日本語表記はあくまでも目安です。できるだけ、実際の発音を耳で聞いてそれを真似るようにしてください。
- BONJOUR(ボンジュール):原則として、日が出ている間は使えるあいさつです。「おはよう」「こんにちは」
- BONSOIR(ボンソワール):日が沈みかけると使えます。別れるときもOK。「こんばんわ」「さようなら」
- BONNE NUIT(ボンヌニュイ):夜もふけ、別れるときの表現。「おやすみなさい」
- AU REVOIR(オルヴォワール):時間に関係なく別れるときはいつでも使えます。「さようなら」 なお、日中に別れるときは BONNE JOURNEE(ボンヌジュルネー) (「すばらしい一日を」)を付け加えると人間関係の回路がより緊密になります。夕方以後は BONNE SOIREE(ボンヌソワレ)です。
- A BIENTOT(アビアントー):やはり別れの言い方です。「また近いうちに」AU REVOIR といっしょによく使われます。
- A TOUT A L'HEURE(アトゥータラール):後ほど会うことになっている場合に使います。「またのちほど」
- A DEMAIN(アドゥマン):「また明日」 別れるときの言い方が "A ..." という形になることにお気づきですか。"A" の後に次に会う予定のときが示されます。例えば、"A DIEU" (アデュー)は「神の身もとで」という意味ですから永遠の別れに使われるのがふつうです。
- SALUT!(サリュ):学生や若い人どうしでよく使います。会ったときも別れるときもどちらでも大丈夫です。「やあ」「オッス」「バイバイ」
- COMMENT ALLEZ-VOUS?(コマンタレヴ):「調子はどうですか」「お元気ですか」。返事は JE VAIS BIEN.(ジェヴェビアン)
- (COMMENT) CA VA?(サヴァ):COMMENT ALLEZ-VOUS?とほぼ同じ。返事は "CA VA." で大丈夫です。その後に "MERCI."(メルシ)でもつけ加えるとさらによいでしょう。
- MERCI (BEAUCOUP)(メルシ・ボクー):お礼の言い方。「ありがとう」 "MERCI" と言われたら、"JE VOUS EN PRIE."(ジェヴザンプリ)と答えるのが礼儀です。
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