いうまでもなく、新しい情報空間の出現が多くの人々の現在の生活実感に与える
疎外感の問題(伝統的な「疎外」問題)を無視することはできない。しかし、ここ
ではあえて新しい情報世界の出現を既存の生活実感からの「解放」として考えよう
とした。それが実現されたとき、すべての市民がはじめて何の障碍もなく個別に自
らの自治体と直面し得るのである。少なくともこの情報世界の形成をめぐって、既
存の地域社会組織が新しい民主主義の達成の1階梯たり得るかどうかが改めて問わ
れることだけは確かであろう。
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