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ご挨拶


山梨大学総合情報処理センター長  伊藤 洋

1999年は,この国の歴史にとって一つの画期になるかもしれません.それはこの年が空前絶後の不況の真っ只中にあり,デフレスパイラルという奈落に向かって落ち込んでいくような抗し難い無重力感を強制されていること.そしてもう一つは,それゆえに政府は,経済対策と称して情報スーパーハイウェイを北海道から沖縄まで構築したことです.それを名づけて「列島ギガビットネットワーク」と呼びます.この春に,「ギガビットネットワーク」は稼動を開始します.

このように,底知れず落ちていく近代の象徴である「経済」に対抗するように,情報ネットワークが装いも新たに出現してくるところに,歴史の分水嶺を見るのは筆者だけでしょうか.21世紀が,この世紀の延長上には無く,まるで違った様相で出現してくるのであろうことを予感させます.それは,物質の世紀から知の世紀への変化なのではないでしょうか.

ここに,『山梨大学総合情報処理センター研究報告』(The Bulletin of the YINS)第2号を刊行できることをうれしく思います.『創刊号』で掲げた想いはここでも未だ実現されてはいませんが,この世紀には未完に終わりながらも,来世紀につづく問題を少しでも提示できていれば成功と言ってよいのだと,身贔屓に思っています.

『第2号』を出版するにあたって,執筆していただいた皆さんと,編集の労を取られた本誌編集委員会のみなさん,わけても今委員長に深甚の謝意を表します.


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