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PHSを用いた無線キャンパスLAN

Y I N S - P H S
Yamanashi university Information Network System based on PHS

総合情報処理センター員
塙 雅典
hanawa@es.yamanashi.ac.jp

  1. はじめに
  2. システムの概要
  3. 利用可能エリア
  4. 利用方法
  5. おわりに
  6. 参考URL

  1. はじめに

    山梨大学には、ATMとFDDIによる高速キャンパスLANが縦横に敷設されており、総合情報処理センターや附属図書館などでは誰でもネットワークを自由に利用できます。しかし近年、個人用ノート型PCを使って時間や場所にとらわれずに学内LANを利用したいという要望が多く寄せられるようになってきました。さらに平成10年に新設された工学部1号館の教室を除けば、学内の各教室で学内LANに自由に接続する設備はなく、改善が望まれていました。これらの要望に応えるため、安価で、毎秒32キロビットと比較的高速なデータ伝送が可能なPIAFS対応のPHSを用いた無線キャンパスLAN(YINS−PHS)が平成10年4月から稼働しています。本稿ではこのYINS−PHSの概要とその利用方法などについて述べます。

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  2. システムの概要

    YINS−PHSではPIAFSカードとPHSをノート型PCに接続すれば、食堂や芝生の上などキャンパス内の好きな場所から自由にネットワークに接続し、電子メールの読み書きはもちろんWWWによる情報検索など、インターネットを介した情報の受発信が自由にできるようになります。PHSを利用するとは言え、建物の外壁や教室などに設置された専用のPHSアンテナを経由して接続するためLANの使用は完全に無料です。さらにPHSキャリアを経由して総合情報処理センター内に設置された専用ターミナルアダプタに接続すれば、学外からもPHSを利用してシームレスにキャンパスLANに接続できるようにもなります。ただしこの場合はPHS接続料金が必要です。

    YINS−PHSは下の概略図に示されるように、事務局学生部庁舎1階交換機室に設置されたPHSデータ通信制御装置(PCU)と学内4ヵ所に設置された接続装置(CS)から構成されています。PCUとCS間は構内電話回線網を介して接続されており、PCUはイーサネットでSuper−YINSに接続されています。利用者は、32kPIAFSカードと自営標準モードを搭載したPHS(アステル製の一部端末とNTTドコモ製)を接続した携帯型端末(以後PHS端末と略記)を用いて接続します。




    YINS−PHSの概要

    以下の写真は実際に山梨大学内に設置されている機器のものです。


    交換機室LANラック内のPCU


    工学部A1号館3F南側ベランダのCS


    厚生会館2Fグリル北側天井のCS


    図書館2F閲覧室のCS


    生協食堂西側のCS

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  3. 利用可能エリア

    下図は平成11年2月時点でのYINS−PHSの機器設置場所(星印)及び利用可能エリア(ピンクの網掛け部)を示しています。1台のCSからの電波はおよそ半径50mのエリアをカバーし、1台のCSのサービスエリア内では3台のPHS端末が同時に接続できます。

    YINS−PHS利用可能エリア

    天気の良い日は芝生の上や桜の木の下で、暑い日は藤棚の下、図書館での文献調査と同時にWWWでの情報検索、グリルでコーヒーを飲みながらネットサーフィンをすることさえ可能です。利用可能エリアは平成11年に拡張され、工学部T0─1教室などの大教室で利用可能となります。これにより、これまでネットワークunreachableだった教室でもネットワークに接続できるようになります。

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  4. 利用方法

    YINS−PHSを利用するにはあらかじめPHS端末をPCUに登録する必要があります。以下にその手順を示します。

    1. 総合情報処理センター事務室にYINS−PHSで利用したいPHS端末を持って行きます。利用可能なPHSは旧NTTパーソナルのPHS端末とNTTドコモのPHS端末です。
    2. 登録申請書に必要な事項を記入し、PHS端末をPCUに無線登録してもらいます。
    3. ダイアルアップPPPの設定をします。電話番号を0番とするだけで、ユーザIDやパスワードには何も設定する必要はありません。これまでのところマイクロソフトWindows、MacOS、Linux、FreeBSDでの動作が確認されています。Windows95での設定はこちらを参考にしてください。他のOSでの接続設定については、総合情報処理センター事務室までお問い合わせ下さい。

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  5. おわりに

    本稿ではPHSを用いた無線キャンパスLAN、YINS−PHS、について説明しました。このシステムは有線のネットワークを補完するのに適しており、最近同様のシステムが他大学でも導入され始めています(例えば琉球大学や電気通信大学、早稲田大学など)。WWWを使った情報検索や電子メールの必要性は今後ますます高まっていくと考えられます。さらにモバイルコンピューティングも今後は我々の生活に欠かせないものになっていくでしょう。これらに自由自在に対応できる情報リテラシーを持つ学生を育てるためには、日頃からそれらを自由に利用できる環境を用意することが不可欠です。YINS−PHSを使えばキャンパス全体をネットワークreachableにすることさえ可能です。総合情報処理センターではPIAFSカードとPHSの組み合わせ、またはPHS内蔵携帯端末ピノキオを各5セットずつ用意して、YINS−PHSの利用希望者に貸出を行っております。是非ともこの先進的なシステムを御利用下さい。

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  6. 参考URL

    1. YINSニュースNo.29 「YINS−PHSが運用開始」
      http://sojo.yamanashi.ac.jp/ipc/yinsnews/no29.htm

    2. PIAFS概要
      http://www.infopro.or.jp/piaf/j/aboutpiafs.html

    3. 他大学でのPHS─LAN導入例:琉球大学
      http://rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp/kono/phs/phs.html

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