3.研究結果
 

  3−1.)地上気象レーダを利用した強雨域の追跡
ここでは地上気象レーダのデータを利用することで、降雨域の中の降雨の強い領域(強雨域)の個々の動きに注目し、強雨域の自動追跡を行い、その結果と目視による追跡結果とを比較しながら、有効な強雨域移動の抽出方法を検討すると共に、地形との関連性を調べている。
まず、強雨域の状態を大きく4種類の分類を行い(図2)、これを時系列的に解析することで、強雨域の追跡を可能とした(図3)。この追跡結果と地形との関係を調べると地形が強雨域に影響を及ぼしていると思われるケースがいくつか見られている(図4)。

 
  図2.降雨追跡方法の基本概念図

図3.強雨域の移動追跡結果の例

 
図4.強雨域と地形との関係

風上の傾斜地に多量の降雨をもたらす、”山地性降雨”の例図4-1。最高標高にかかる前の山腹部分で降雨が減衰する傾向がある。この場合降雨のピークは山腹前の平地で訪れる。風上の傾斜地に厚く湿った空気が山で遮られることによって山岳部の雲が濃くなり、中層雲からの降水粒子が下層の雲内の降水粒子を補足すると考える
図4−1
海上で発生した降雨が上陸すると、海岸線に沿い降雨強度は高まり、海岸線を離れると共に降雨は減少してゆく、”海岸性降雨”(図4-2)の例。 図4−2
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