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医学工学総合研究部
清水 毅,小谷 信司
tsuyoshi-s@yamanashi.ac.jp
kotani@yamanashi.ac.jp

1.はじめに
 本学では,オンライン英語独習システムとして2000年3月より株式会社アルク教育社のALC NetAcademyを導入している.2000年3月ではスタンダードコースのみであったが,2003年度より「初級・中級コース」・「技術英語<基礎>コース」・「ライティング<基礎>コース」が新たに導入された.本稿では,電気電子システム工学科及び機械システム工学科における導入事例を報告する.

2.電気電子システム工学科における導入事例
  2.1 到達目標
 表1に受講者の採取的な到達目標を示す.この目標を達成するように講義スケジュールが組まれている.まず,英語基礎表現力を身につけ,次に語彙数を増やすとともに,英語のリズムを身につける.そして,最終的な受講者の到達目標として,英語文章の組立能力を身につけるこが掲げられている.

表1 技術者英語の到達目標
1 科学・技術に関する英文になじみ、電気電子システム工学科の学生として必要になる英語基礎表現力を身につける。
2 読解の理解にとどまることなく、基礎単語、専門用語の語彙数を増やし、正しい発音、正しい文章のリズムを身につける。
3 日本語文章から英語文章の組み立てを行う能力を身につける。


  2.2 講義スケジュール
 講義スケジュールを表2に示す.まず,受講者のレベルを計るために,レベル診断テストを実施する.その後,スタンダードコースを5回,技術英語基礎コースを6回を実施し,演習・総復習を行うという計画になっている.

表2 講義スケジュール
講義内容
1 ガイダンス(技術者英語のねらい、学習方法)
2 レベル診断テスト、スタンダードコースの学習法
3 各自のレベルに合わせたスタンダードコース  リスニング、リーディング(各 2 教材)
4 各自のレベルに合わせたスタンダードコース  リスニング、リーディング(各 2 教材)
5 スタンダードコースTOEIC演習No.1 TOEIC解説
6 スタンダードコースTOEIC演習 No.2、No.3、弱点問題再チャレンジ
7 技術英語基礎コースの学習法
8 技術英語基礎コースユニット 2
9 技術英語基礎コースユニット 4
10 技術英語基礎コース レビュークイズ 1
11 技術英語基礎コースユニット 7
12 技術英語基礎コース レビュークイズ 2
13 スタンダードコース TOEIC 演習 No.4,No.5
14 今までの総復習

 2.3 各講義の実施方法

宿題の提出
・ALCNetAcademyに各自ログイン
・前回の「出席電子メイル」の不明点、要望点の解説
・本日の学習内容、ポイントの指示
NetAcademyを利用した学習
「出席電子メイル」の送信
・その回に学んだ内容のポイントを3〜4行程度でまとめる(必須)
・その回で新しく理解したことを 3〜4行程度でまとめる(必須)
・その回でわからなかったこと 、次回への要望 、気づいたこと
授業プリントの提出
図1 授業の流れ


平素の講義は図1のように実施される.まず,受講者に宿題を提出させ,ポイント等の説明を行い,NetAcademyを利用した学習に入る.学習後は,出席メイルを送信,授業プリントを提出し,講義の終了となる.この時,受講者の学習内容や要望等を受信することで,学習状況をインタラクティブに確認しあうことが可能となっている.

  2.4 まとめ
 今回は,初めての取り組みであるため,受講生側の戸惑いが見られたが,講義時間中の演習・宿題ともほとんどの受講生がやり通すことができた.しかしながら,英語力の持続・向上には継続的な学習が必要であるため,学期終了後にもなんらかの対策が必要である(自己努力を促すのは難しい).最後に,参考に受講生からの意見をまとめる(クリックしてください).

3.機械システム工学科における導入事例
  3.1 学習のねらいと評価項目
 機械システム工学科(Dクラス)では,技術英語IにおいてALC NetAcademyを利用した講義を行っている.学習のねらいとしては,英語によるコミュニケーション能力 + ALCネットアカデミーによる基礎力向上である.表2に評価項目とその割合を示す.学習のねらいで,英語によるコミュニケーション能力の向上を挙げているため,プレゼンテーション・討論に重点が置かれている.また,プレゼンテーションに用いる内容としては,ALC NetAcademyに用意されているUnitを利用している.
 また,評価項目の詳細を受講生に説明した内容を表3に示す.受講生は,評価内容の説明を受けることで,参加型講義を強く意識していた.

表2 評価項目と割合
EVALUATION ENTRY RATIO
PRESENTATION(プレゼンテーション) 20%
DISCUSSION (討論) 35%
ATTENDANCE(出席) 10%
MIDTERM EXAM.(中間テスト) 10%
FINAL EXAM.(最終テスト) 25%

表3 評価項目の内容説明
プレゼンテーション
 1回の授業で4人に割り当てられたトピックを英訳してもらい発表してもらいます.1回の発表は質問時間を含めて12分(発表6分,質問6分)を目安とします.発表者は英訳した原稿をプロジェクタに映して発表してください.質問者は発表に対して質問をしてもらいます.
討論
 受講者は全員各発表についていくつかの質問を考え,毎回A4用紙にまとめてきてください.質問は挙手をし,講師に指名された者が英語で質問をしてください.受講者は,質問の内容が正しい文法の場合2ポイント,正しくない場合でも1ポイント獲得できます.ですので,質問をしないと単位が修得できない場合もあります.
中間テスト
 質問をまとめた用紙を2回回収しますが,いつ回収するかは通知しません.ですので,毎回授業に対する準備をしてきてください.回収した質問を中間テストの得点として扱います.
最終テスト 
 最終テストは通常のテスト期間に行われます.
各受講生は質問用にA4ファイルを作成し,必ずネットアカデミーで予習をすること.
ネットアカデミー:*http://alc.ccn.yamanashi.ac.jp/n-acad/

  3.2 学習方法
 ALC NetAcademyを利用した学習方法を図2に示す.受講者は,予習としてNetAcademyを利用し学習すると同時に表3における「討論」のために質問事項を英語で整理する.次に講義において,発表者が英語で発表を行う.さらに,受講生は,英語で質問を行い,話し手は,英語で答える.これを繰り返すことにより学習を進めていく.

図2 学習方法(画像をクリックすると拡大します)

  3.3 まとめ
 今回の導入により得られたことは,各学習者がUnit毎にトピックがあり学習者は関連事項について調べるため,Unitの内容のみではなく,関連した知識も得ることが出来た.また,英語による発表を行うことで英語で話す自信が少しでもついたと考えられる.しかしながら,参加型授業であるため消極的な性格の受講生に対するフォローも必要だと考えられる.

4.おわりに
 本稿では,ALC NetAcademyの導入事例として,電気電子システム工学科および機械システム工学科における利用方法を紹介した.今回初めての試みであったが,受講生から肯定的な声も聞くことができた.利用方法としては,様々な手法が考えられるため,今後他学科の利用参加が待たれる.多くの利用により事例が増えることで,ノウハウが蓄積され,より良い講義を受講者にフィードバックできると考えられる.

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