秋田県東部奥羽山脈・真昼山地(中新統)の西麓には,千屋丘陵(鮮新・更新統)・横
手盆地(完新統)が広がる。それぞれの地形・地質境界は,断層によって画されている。
1896年(明治29)年8月31日,真昼山地直下を震源地として陸羽地震(マグニチュー
ド7.2の)が発生した。この地震の時,横手盆地東縁に沿っていくつかの逆断層があらわ
れた。千屋断層は,その中で最も顕著な地震断層であり,千屋丘陵と横手盆地の境界(写
真左)に沿って複雑に湾曲して出現した。千畑町・一丈木(写真中央左)では,最大3.5m
の上下変位と水平短縮(東西)が記録された。
1982年・1986年,この地震断層を横切ってトレンチ調査やボーリング調査がおこなわ
れた。その結果,明治29年陸羽地震の以前(約3500年前)にもこの千屋断層が活動して
いること,また陸羽地震の時,断層崖が崖下の水田にのりあげた様子などが明らかにされ
た。
1996年夏,千屋丘陵の地下構造を明らかにするために、この丘陵(写真下)を横断し
て浅層反射探査が行われた。活断層の新しい調査法として期待される(1991年4月撮影)。
[解説:今泉俊文(山梨大学地理学教室)・撮影:八木浩司(防衛大学)]
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