活断層の調査/断層変位地形/確実度


空中写真判読調査

 活断層調査は 空中写真の実体によって行う.空中写真は一般には2万分の1
や4万分の1を用いるが,最近では1万分の1カラー写真や,土地改変前の判読
の必要性から米軍撮影の写真利用することもある.
 まず,空中写真の実体視から,活断層の疑いのあるリニアメント(線状構造)
を抽出し,そのリニアメントに沿って,断層変位地形が認められないかどうか
を探す.リニアメントは断層以外の成因(例えば岩質の違いや)によっても生
ずるので,リニアメントが判読されたからと言って直ぐに活断層だとは限らな
い.
 断層変位地形を見いだすには,それが元々ひと続きの地形であるかどうかを
検討することが必要である.ひと続きの地形とは,その成因と形成の時代が同
じものをさす.例えば扇状地や段丘面等のように,一連の地形作用で形成され
た面や,河川作用で侵食された崖等である.これらの地形は断層変位・変形を
受ける前はなめらかにつづいていたので,断層変位の基準とも呼ばれている.
断層変位基準の年代と変位量がわかると,断層の変位速度を知ることが出来る.
空中写真の判読によって見いだされたリニアメントやそのリニアメントに沿っ
て認められた断層変位基準は野外地質・地形調査によって詳細に検討される.
このようにして,活断層の地表での調査は行われてきた.
 最近では,地表調査に加えて,その地下がどのようになっているのか,地表
に崖がないところ(例えば新しい地形作用で断層活動が埋まった沖積地)でも,
ボーリングや地震探査などで,積極的に地下の断層構造を明らかにする調査が
行われている.