「対談 マルチメディアと図書館」に関する解題
総合情報処理センター長     伊藤 洋




人間は「情報」を交換することでコミュニケーションを図ります。
情報を構成するために、人はコードを作り、コードの統辞体系に従ってテキストを構成し、テキストをやり取りすることで情報を交換します。コードの種類は様々ですが、言語・文字・音符・アイコンなどが典型的なコードであり、モールス信号以来の機械的通信符号などもコードの体系に属します。コードによって作られるテキストは、文法などコードを結ぶ統辞規則によって制限されますから、表現の幅はおのずと限界を持ちます。時代が安定的である時にはそれでもよいのですが、あたらしい文化が芽生える時にはこの限界は窮屈です。

ところで、人が「意味がある」と認識したものの総体を記号といいます。記号は究極的にコードの中に組み込まれていきます。
時代が変化する時には記号が大量に増産され、結果としてコードを複雑化していきます。情報化社会と呼ばれる現代はこういう状況にあります。大量に発生する記号とコード、これを人のコミュニケーションに組み入れる仕組み、新たな統治体系を創造するシステムがマルチメディアです。

総合情報処理センターは、山梨大学におけるマルチメディアの総合的基盤を提供するための試験的仕組みを数多く用意しました。そこで創造されるマルチメディアコンテンツは附属図書館を介して学内外に提供されることとしています。
それによって、教育・研究・大学改革はもちろん、世界的な広がりの中でよりよいコミュニケーションが創造されるはずです。上記「マルチメディアと図書館」の宮沢図書館専門員と並木編集委員の対談のコンテキストは、こういうパースペクティブの上でなされたものに他なりません。

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