特許や著作物といった知的創作物は、基本的には情報であることから、一度、公開されれば、簡単に模倣することができます。昔から人類は情報の模倣によって進歩してきました。中世の画家たちは師匠の絵をまねることにより絵の勉強をしましたし、職人の弟子は親方の技術をまねることにより技術を身につけたのです。
ところが、近代化とともに模倣する技術も進歩し、模倣する行為を野放しにすると、人は新しい技術を研究したり、すぐれた芸術を創作する意欲が無くなります。そこで、これらの知的創作物の権利を保護して、発明者や著作者の新たな創作意欲をかきたてるために知的財産権制度が生まれたと言われています。
知的創作物が価値を持つことは古くから認められており、古代のエジプトやギリシャにおいて文学作品コンクールで他人の作品をまねした応募者は盗みや詐欺の罪として取り締まられました。
また、おいしい料理を考え出した人は、その料理を作る権利を1年間独占できたと言われています。このように、知的財産の価値を認めて保護する考えは古くからありましたが、具体的な制度として確立するのは、中世のヨーロッパまで待つことになります。