著作権の始まり

著作権は、出版技術に関連した権利として始まりました。1450年頃グーテンベルクの活版印刷の発明により、聖書などの書物が大量に印刷できるようになりました。活版印刷が普及した当初はニセ本が出回ったり、王室などの権力者に不都合な内容の書物が出版されたことから、検閲を目的として特定の出版業者に出版権を許可する制度が生まれました。
しかし、この制度のもとで著作者の同意を得ない出版が横行したため、著作者の間に不満がひろがりました。そこで、イギリスのアン女王は、著作者の権利を認めた条例を1710年に制定したのです。この条例はアン条例とも呼ばれ近代著作権法の基となりました。著作者の権利を保証したこの制度のもとでイギリスは優れた文学を生み出す社会環境が整い、 「ガリバー旅行記」のスウィフトや 「ロビンソンクルーソー」のデフォーなどのすぐれた作家を輩出し、イギリス文学の黄金期と言われる時代をむかえたのです。

その後、著作権法は文学以外の美術や音楽など芸術的な創作物の全般にわたって著作者の権利を保護する法律として発展しました。さらに、技術の発達とともに写真、映画やテレビ放送なども保護の対象とするようになり、適用の範囲が徐々に広がることになりました。


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