5 文献と注

 

目次1 はじめに 2 概念と類型 3 主な電子マネー 4 電子マネーの本質と今後 5 文献と注 6 インターネットアドレス

【注】  

(注1)金融情報システムセンターは、「利用者間での取引に際して、金融機関などのホストコンピュータに格納されている利用者の個別の勘定元帳等の更新を、取引のつど行うことなく処理するシステム。こうした電子マネーには、個々の支払では勘定元帳を更新しないが事後にその合計額で利用者の個別勘定元帳などの更新を行う電子小切手等や、個々の支払いと利用者の個別勘定元帳等との更新が全く切り離された電子現金がある。」と説明している。「電子決済研究会(第2部)報告書」8頁。
 大蔵省の見解;「電子貨幣が紙幣類似証券に該当するかどうかについては、「プリペイドカード等に関する研究会」報告書において、「一般的に言って、通貨(紙幣)の機能とは、何処でも、誰でも、何にでも、支払ないし決済手段のとして利用できることであると考えられる。・・」したがって、これに関しては、「実際の通貨と交換できる場合」と「実際の通貨とは交換できないが、ほとんどすべての財、サービスを購入できる手段である場合」として考えるべき」と述べている。

(注2)日本銀行法第29条第2項は「銀行券は行使一切の取引に無制限に通用す」という規定を定めており、通貨は、受け取り側がそれを拒否することができないといった強制通用力を持つのである。

(注3)岩井克人「「電子通貨」の貨幣」Networking Design Fotrum、1977年

(注4)建部正義「電子マネーの位置づけと銀行の本質」「金融」、1997年

(注5)岩井克人「「電子通貨」の貨幣」Networking Design Fotrum、1977年

(注6)須田美矢子「電子マネーと金融政策」「日経やさしい経済学」1996年7月30日

(注7)岩井克人「「電子通貨」の貨幣」

(注8)建部正義「電子マネーの位置づけと銀行の本質」「金融」、1997年

(注9)電子通貨がもたらすメリットをあげると、次のような点である。 
(1)いつでもどこでも簡単で低コストのサービスを瞬時に実現(利用者の経済的優位性、利用者の利便性・スピード向上)  
(2)銀行ならびに企業における決済コストの低減及び事務負担の軽減(コスト削減、効率性向上) 
(3)インターネット上で情報商品市場が形成される(新しい商品市場の創造)  
(4)インターネットなどを通じて市場参入が容易になり、中小企業の進出機会が拡大する。(中小企業のビジネスチャンスの拡大) 
(5)電子現金に関連する機器、電子現金発行管理システムの構築及びその管理・運用事業、認証サービス事業が新たに創造される。(新事業の創出) 
やはり、このようなメリットが実現するかどうかということも、利用者が電子通貨に現在の現金以上の存在意義を認知していくことによって、電子通貨が社会的存在をもちうるかどうかにかかっているである。電子通貨が社会に根づくためには、現時点ではまだまだ多くの課題が残されており、それを解決していかなければならない。もし、技術のみが先行して利用者不在で電子通貨が進められていくならば、それは単なるモノとなってしまう恐れがあるし、制度だけを整備してもデジタル情報という特性の電子通貨にかかわるセキュリティなどが技術的に解決できなければとうてい社会に受け入れられることはありえない。技術や制度は、電子通貨がもつ問題を解決し経済的・社会的意義を実現するためのインフラであるけれども、それは不可欠なものである。


【文献】

電子マネーに関する文献は、実に多くあるが、中でも最近の重要と思われる文献を以下に取り上げた。以上の筆者の記述もこれらの文献に負っている。電子マネーに関するより詳細は以下の文献をご覧いただきたいと思う。

1. 日経デジタルマネー・システム編「デジタルマネーのすべて」日経BP社、1997年

2. 日本銀行「G10電子マネー報告書公表について」1997年

3. 通商産業省機械情報産業局電子政策課「電子商取引に関する検討課題について」1996年

4. 郵政省電気通信局「暗号政策と電子現金」第一法規、1996年

5. 金融情報システムセンター「電子決済研究会(第2部)報告書」1997年

6. 木下信行「基調報告「電子商取引及び電子決済への取り組みについて」「金融情報システム」、1996年

7. 「電子マネーおよび電子決済に関する懇談会」1997年

8. 建部正義「電子マネーの位置づけと銀行の本質」「金融」、1997年

9.国際決済銀行(BIS)編著「電子マネーのセキュリティ」ときわ総合サービス、1997年

10.木下信行、日向野幹也、木寅潤一「電子決済と銀行の進化」日本経済新聞社、1997年

11.藤原宏高「サイバースペースと法規制」日本経済新聞社、1977年

12.岩井克人「「電子通貨」の貨幣」Networking Design Fotrum、1977年

13.岩井克人「貨幣論」筑摩書房、1993年