活断層情報/活断層分布図=/トレンチ調査

 


詳細活断層図

−−その意義と利用−−

 兵庫県南部地震では,淡路島の北西部に地震断層が出現した.野島断層は,今
回の地震が起こる前からその存在が知られ,しかも1/5万分の地質図にその位置が正
確に示してあった(水野ほか,1990).活断層研究会(1980,1991)は,全国の
活断層を図示しているが,地図の縮尺は20万分の1地勢図を約60%に縮小したもの
を基図としているために,断層の位置を道路や鉄道や人家と照らし合わせるだけの精
度は持っていない.活断層が動くとその直上や近傍は被害が集中することは,これま
での多くの地震災害で明かである.空中写真判読による活断層の認定とその位置の精
度の高さはこれまでの現地調査や断層発掘調査(トレンチ調査)などですでに実証済
みである.そこで,活断層図もできるかぎり正確な断層位置を適切な縮尺図に示すこ
とが重要であろう.

 阪神淡路大震災の後,活断層に対する様々な調査研究がすすめられている.国土地
理院
は,縮尺2万5千分の1地形図を基に,都市圏活断層図を作成し,市販も行われて
いる.現在まで,札幌・仙台・首都圏・中京圏・近畿圏・広島・福岡などの大都市を
中心に作られ,さらに主要な活断層がある地方都市の作成もすすめられている.また
最近では,都市部に限らず地方でも地域開発に合わせて,各種の大縮尺地図(縮尺1
万分の1以上)が揃ってきており,これらの地形図を用いて,活断層の詳細な位置を
示することは可能になってきた.活断層の正確な位置を知ることは,地域の防災計画
や適切な開発計画の面でより実用的な情報となろう.さらに地域住民に活断層の正確
な情報と知識を伝える上でもきわめて重要だと考えられる.